それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 今度はミレッラがロランの頬を挟むようにして掴んだ。

「ロラン。あなた最高ね」
「現金な奴だな」
「目を閉じて」

 お望み通りキスで応えようとしたのに、ロランが目を閉じてくれない。
 それどころかじっと見つめてきて、さすがに恥ずかしくなってくる。

「なに? あなたがキスって言ったんでしょう?」
「せっかくミレッラからしてくれるんだ。刻みつけたいだけだから気にするな」
「無理よっ」

 そんなに熱く見つめられると、顔を寄せるだけでも恥ずかしいのに。
 しかしロランは譲る気がないようで、ミレッラもミレッラで、今さらやっぱりやめるとも言えない空気があり、意を決して唇を寄せていった。
 自分で言ったように、ロランとキスをするのは初めてではない。
 夜を重ねるごとに回数も重ねている。
 それなのに、どうして『自分からする』という主体的な要素が加わっただけで、こうも緊張するのだろう。