目元をなぞっていた彼の指先が、大きな手が、そのままするりと頬をなぜる。
温かい。人の手というのは、こんなに温かかったのか。
少しだけかさついていて、別に感触がいいわけでもないのに、このまま触れていてほしいと思うのはなぜだろう。
(ああ、そうだわ。この手は、私を傷つけないからかしら)
利害が一致しただけの相手に対しても、彼は優しく抱く。
耳に入ってくる話の中では、初めてが痛いのは仕方ないとしても、それ以降もずっと痛くて夫婦関係が悪化したなんてものもよくあった。
けれど、彼とは初めての時に痛みを感じただけで、それ以降の夜は一度も痛いと思ったことはなかった。
(本当はわかってるのよ。『抱き心地が悪い』と言ってたくさんの食事を勧めてくるのも、痩せすぎていた私を健康的にしようとしてくれているだけなんだって)
でも、それを認めてしまったら、辛くなるのは自分だともわかっていた。
「……意外だな」
彼がぽつりとこぼす。
「何が?」
温かい。人の手というのは、こんなに温かかったのか。
少しだけかさついていて、別に感触がいいわけでもないのに、このまま触れていてほしいと思うのはなぜだろう。
(ああ、そうだわ。この手は、私を傷つけないからかしら)
利害が一致しただけの相手に対しても、彼は優しく抱く。
耳に入ってくる話の中では、初めてが痛いのは仕方ないとしても、それ以降もずっと痛くて夫婦関係が悪化したなんてものもよくあった。
けれど、彼とは初めての時に痛みを感じただけで、それ以降の夜は一度も痛いと思ったことはなかった。
(本当はわかってるのよ。『抱き心地が悪い』と言ってたくさんの食事を勧めてくるのも、痩せすぎていた私を健康的にしようとしてくれているだけなんだって)
でも、それを認めてしまったら、辛くなるのは自分だともわかっていた。
「……意外だな」
彼がぽつりとこぼす。
「何が?」
