肩までの長い茶髪をハーフアップでまとめた、目尻の垂れ下がった青い瞳が印象的な男。
――エーゲハルト・ステイブルトン。
ミレッラの秘密の婚約者だ。
彼とは互いに利害の一致した、契約の関係を結んでいる。ただ、それはふたりだけの秘密という契約でもあったはずなのだ。
そんな彼がなぜここに……という衝撃で思考が停止したミレッラに、叔父の気味が悪いほど弾んだ声が耳に届いた。
「座りなさい、ミレッラ。おまえに話がある」
嫌な予感に、口の中が急速に乾いていく。
いつもなら己の動揺など貴族の仮面で隠せていたミレッラも、今回ばかりはすぐに反応できなかった。
すると、痺れを切らした叔父が声を荒らげた。
「とろとろするなっ。さっさと座らんか!」
反射的に肩がびくりと震えた時、エーゲハルトと腕を組んで座っていた従妹のカリーナが、嫌みな視線を流しながらくすくすと笑ってくる。
「お父様、そう怒鳴らないであげてくださいませ。誰だって失恋を知ったらそうなってしまうわ」
「おまえは優しいな、カリーナ。だからエーゲハルトくんも、ミレッラではなく、優しく愛らしいカリーナを選んだのだろう」
叔父とカリーナの目が揃いも揃って三日月形に歪む。
――エーゲハルト・ステイブルトン。
ミレッラの秘密の婚約者だ。
彼とは互いに利害の一致した、契約の関係を結んでいる。ただ、それはふたりだけの秘密という契約でもあったはずなのだ。
そんな彼がなぜここに……という衝撃で思考が停止したミレッラに、叔父の気味が悪いほど弾んだ声が耳に届いた。
「座りなさい、ミレッラ。おまえに話がある」
嫌な予感に、口の中が急速に乾いていく。
いつもなら己の動揺など貴族の仮面で隠せていたミレッラも、今回ばかりはすぐに反応できなかった。
すると、痺れを切らした叔父が声を荒らげた。
「とろとろするなっ。さっさと座らんか!」
反射的に肩がびくりと震えた時、エーゲハルトと腕を組んで座っていた従妹のカリーナが、嫌みな視線を流しながらくすくすと笑ってくる。
「お父様、そう怒鳴らないであげてくださいませ。誰だって失恋を知ったらそうなってしまうわ」
「おまえは優しいな、カリーナ。だからエーゲハルトくんも、ミレッラではなく、優しく愛らしいカリーナを選んだのだろう」
叔父とカリーナの目が揃いも揃って三日月形に歪む。
