それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

「別に、俺とミレッラは賭けこそしているが、あえて嫌い合う必要もないだろ? せっかくなんだ。楽しんでも罰は当たらない」
「そうじゃなくて、『鬼官僚』はもっと冷たいと思ってたのよ」

 ストレートに心の内を明かせば、ロランがとても心外そうに顔を歪めた。仮面をしてない彼はやはり表情豊かだ。

「プライベートに仕事を持ち込むわけないだろ」
「だからロランがそういう人だって知らなかったの」
「だったら知っていけ。俺がどんな人間か。俺に興味を持て。俺は賭けに勝つつもりだから、俺について知っていった方がこの先楽だぞ」

 口説き文句のような言葉に、どう反応していいのかわからなくて戸惑う。
 そもそも賭けに勝つのは自分だ。勝って、両親の守ってきたものを取り戻して、修道院で穏やかに余生を暮らす。それが人生の目標だ。
 たまに領民の様子も見に行けたらいいけれど、新しい領主の手前、それは難しいかもしれない。
 そもそもの話、修道院に入れば自由に外には出られなくなるだろうから、そこは「できたらいいな」くらいの温度感だけれど。