それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

「男前の間違いだろ?」

 スンと真顔になったのは言うまでもない。
 でもまあ、彼は顔のせいでこれまで散々振り回されてきた過去を持つのだから、謙遜されるほうが嫌みなのかもしれないと思い直す。
 てっきり何か話があって訪ねてきたと思った彼は、何を思ったのかいきなりミレッラを横に抱き上げると、ソファまで運び、そこに下ろした。

「まだ軽い」
「何が?」
「あなたの身体だ。とにかく食べさせろと指示したはずだが、食べてないのか?」
「もしかして体重のこと? 私の人生で一番ってほど食べさせてもらってるわよ」

 そう言うと、ロランがかなり引いた目で見下ろしてくる。
 なんとなく居たたまれなくて、あからさまに話題を逸らした。

「もういいから、用件を話してちょうだい」
「準備ができた」

 言葉が足りないロランに文句をぶつけようとしたところで、ハッと閃く。

「例のね?」

 そうだ、とロランが頷いた瞬間、これまでにないくらい胸が躍った。