それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 身長もミレッラとほとんど変わらない。それどころか、ミレッラがヒールを履いてしまえば追い越してしまうくらいだ。

「でもエルヴィノ様がお強いのは本当ですよ、奥様! なんと言っても、エルヴィノ様は騎士団の第二部隊長ですから!」
「えっ」

 予想外の肩書きが出てきた。つい目を丸くして右隣にいる彼を見やれば、ニヤ~と嬉しそうに口角を上げた彼と目が合う。

「やっぱり不安に思ってましたね? わかりますわかります。でも僕、食べ物さえあればできる男なんで」

 自信満々に親指をぐっと立てられたので、食べ物がないとできないのという指摘は呑み込むことにした。
 それからふたりと一緒に、応接間、書斎、図書室、衣装室など、まずは建物の中を見て回る。
 さすが王家の末席に名を連ねる者が当主なだけあって、公爵家はかなり広かった。王都にある公爵家所有の屋敷もここの三分の二ほどはあると聞けば、開いた口が塞がらない。
 一日で全て見切るのは難しいというふたりの配慮から、とりあえず公爵夫人として知っておく必要のある場所を優先的に覚えていった。
 中の探検を終えると、次は外へ向かい、中庭や庭園、温室を案内してもらう。
 それだけでもすごいのに、なんと公爵家の敷地内には人工の湖があるらしく、「それは今度旦那様に案内してもらってください」と気を利かせたふたりによって後回しとなった。

(案内してもらえる機会があるといいけど……)

 内心で苦笑する。