それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

『親愛なるミレッラ様
 お元気でしょうか。急にミレッラ様が結婚なさると聞き、皆とても驚きました。
 お世話になったミレッラ様へ直接祝福の言葉を贈れなかったことは残念ですが、ミレッラ様の明るい未来を信じてこの手紙を書いています。
 ですから、もしそうであれば、以前我々がお願いしたことはどうか忘れて、幸せにお過ごしください。
 我々の願いはひとつ。娘のように思っているミレッラ様の幸せなのですから。
 あなたの領民一同より』


 手紙を持つ手が震えそうになるのを必死に堪える。この手紙をぐしゃぐしゃにしないように。
 膝の上に手紙を置いたミレッラは、天井を仰いだ。

(気を遣った文面だわ。万が一公爵家の検閲が入っても問題ないように、曖昧なことしか書かれてない)

 そうまでして伝えたかったのが、「幸せになってほしい」だなんて……そんなの無理に決まっている。

(お父様とお母様は守れなかった。事故なんだから仕方ないとはわかってるわ。でもだからこそ、私にとっても『親』みたいなみんなを、今度こそ守りたいのよ)

 朝食を食べたらさっそく返事を書こうと頭の中で段取りを組んでいると、メイドたちが配膳を終えたようだ。