それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 おそらく彼女は、昨夜の儀式とも言えるイベントがつつがなく終わったことを確認する役目を担っていたのだろう。そうと理解しても恥ずかしいものがある。
 セレナに手伝ってもらいながら支度をしていると、着替える前にセレナからベッドの縁に座ってくださいと促される。
 夜着の前をはだけられて、露わになったお腹にセレナが薬を塗っていった。

「……ありがとう、セレナ。やっぱり昨日、気づいてたのね?」
「はい。ですが、薬は私ではありません」
「そうなの? じゃあ……」
「旦那様です」

 つまり、ロランだ。彼がセレナに薬を塗るよう命じたらしい。
 なんとも言えない、複雑な思いが胸の内に広がる。強引なのか優しいのか、はっきりしてもらいたいところだ。

(じゃないと、調子が狂うじゃない……)

 セレナが薬を塗り終わると着替えをして、ミレッラは朝食について訊ねた。

「食堂で旦那様と一緒にとるのかしら?」

 すると、セレナが微妙に気まずそうな顔で答えた。

「いえ、旦那様はすでに王宮へ出仕なさいましたので、朝食は奥様の部屋にお運びいたしますね」
「あ、ありがとう」

 やらかした、かもしれない。