それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 初夜を終え、朝を迎えたミレッラの隣には、すでにロランの姿はなかった。
 情けないことに気絶するように眠ってしまったようで、昨夜の記憶が途中から抜けている。
 それでも布団をめくると夜着を着ていたので、ロランか、あるいはロランに呼ばれたメイドが着せてくれたのだろう。
 その時ふと昨夜の彼を思い浮かべそうになってしまって、慌てて頭を振った。
 世の中の夫婦というものはあんなことをしなければならないのかと、なんとも言えない羞恥心で膝に顔を埋める。
 扉を叩く音がして、びくりと顔を上げた。

「おはようございます、奥様」
「おはよう、セレナ」

 彼女はベッドの傍らまで来ると、シーツについた赤い染みを確認し、ぱあっと表情を明るくさせた。

「このたびはおめでとうございます。奥様が当家にいらしたことを、心より嬉しく存じます」