それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

「まさかこれも、同じ理由か?」

 おそらく目の下にあるクマのことを指しているのだろう。ストレスが原因だから、あながち同じと言えなくもない。
 黙したままいると、ロランがさらに深いため息を吐きだした。

「本当にいいんだな?」

 少し躊躇って、こくりと頷く。

「わかった。なら遠慮なくいかせてもらうから、後で文句を言うなよ」

 それからは未知の世界だった。
 何もかもが初めてのミレッラは、あまりの恥ずかしさに虚勢を張る余裕もなくなっていた。
 ロランに翻弄されるまま身体を跳ねさせ、自分でも聞いたことのないような声をあげさせられる。
 早く終わってと願い続けて、どれほどの時間が経っただろう。
 密着するように覆い被さってきた彼が短く呻き、お腹の中に彼の熱が広がった時にはもう、ミレッラは息も絶え絶えになっていた。

「これで、後戻りはできないぞ」

 ロランが耳元で囁く。
 なけなしの矜恃を掻き集めて、負けじと微笑みを浮かべてみせた。

「望むところよ。せいぜい私を利用するといいわ。私はあなたにも、負ける気はしないから」

 かくしてミレッラとロランの、誰も知らないふたりだけの秘密の関係が始まったのだった。