それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

「……あの、もし気持ち悪いようなら……」

 やめてもいいのよ、と続けようとしたら、ロランが花に触れるような繊細な口づけを落としてきた。
 まるで、先ほどミレッラがしたみたいに。

「痛むか? 痛むなら、今夜はやめても構わないが」

 直前まで人の話も聞かずに続けようとしていたのに、痣を見て簡単に手を止めるらしい。
 それがミレッラを気遣ってのことだとわかるから、内心で戸惑った。強引な男だと思っていたのに、突然その印象を覆そうとするのはやめてほしい。
 ミレッラとしては、やめる方が都合がいい。
 けれどなんとなくそれは、フェアじゃない気がした。

「痛みはないわ。あなたがいいなら、続けて」

 彼が目を瞠る。その目が如実に訴えていた。痛くなかったとしても痣にかこつけて賭けを有利に進められるのに、なぜしないのか、と。
 わざわざ自分の不利を選んだミレッラに、ロランが納得してなさそうに顔を歪める。
 それでもミレッラが自分の発言を取り下げる気配がないとわかると、嘆息した彼がミレッラの目元をなぞってきた。