それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 その地位にいる彼ほど、叔父の不正を暴くのに適任な者もいない。だから叔父が勝手に結んできたこの婚姻に、特段抵抗しなかったのだ。
 財務省の地方財政を扱う部署は、地方貴族の財政管理等を担っているため、貴族の不正を取り締まることもある。そこの長である彼なら、いろんな情報を得やすいだろう。
 まばたいた彼が、一拍措いてふっと笑った。

「いいだろう。つまり、先に子ができるか、あなたの復讐が成されるか――そういうことだな?」
「ええ。子どもができる前に復讐が成されれば、私はもうあなたと結婚している意味がなくなる。その時は、遠慮なく離婚を申し出るつもりよ」
「それだと困るなら、頑張って励めということか」

 彼が口角を上げ、そのまま何か小さく呟く。

「……『復讐』というより、他人のためか」
「何か言った?」
「いや? ここまで思いきりのいい女性は初めてだなと」
「言ってるじゃない!」

 馬鹿にしたような目を向けられて頭にくるが、今はそんなことで怒る時ではない。