「偽物《メイク》だ」
メイク? と頭の中で繰り返す。
その単語を知らないわけではない。けれど、ミレッラの知っている『メイク』と、今目の前で剥がされた『メイク』は、同じ言葉でも少し違う。彼のしていたものは、そう、まるで舞台役者がするような特殊なメイクだった。
「……つまり、本当は火傷なんて負っていなかったの?」
「そういうことだ。昔から顔で騒がれることが多くて辟易していたんだが、ある観劇でこういう怪我のメイクをしている役者を見かけてな。そのとき思ったんだよ。周囲がもてはやすこの〝綺麗な顔〟がなくなったら、彼らはどんな反応をするのだろうと」
楽しげに喉を震わせるロランだが、そこにはどこか嘲笑じみた色も滲んでいた。
「結果は知っての通りだ。いかに人が人を『外見』で判断するのかを理解させられたよ。煩わしい問題が一気に片付いて楽になったから、メイクを続けようと思った」
ただ、と剥がしたメイクをベッドの外に放りながら、彼が言う。
「毎日このレベルのメイクをするのは面倒でね。ある程度『火傷の痕』も見せたし、後はもう仮面で問題ないと判断したから、いつもは仮面だけ着けている」
メイク? と頭の中で繰り返す。
その単語を知らないわけではない。けれど、ミレッラの知っている『メイク』と、今目の前で剥がされた『メイク』は、同じ言葉でも少し違う。彼のしていたものは、そう、まるで舞台役者がするような特殊なメイクだった。
「……つまり、本当は火傷なんて負っていなかったの?」
「そういうことだ。昔から顔で騒がれることが多くて辟易していたんだが、ある観劇でこういう怪我のメイクをしている役者を見かけてな。そのとき思ったんだよ。周囲がもてはやすこの〝綺麗な顔〟がなくなったら、彼らはどんな反応をするのだろうと」
楽しげに喉を震わせるロランだが、そこにはどこか嘲笑じみた色も滲んでいた。
「結果は知っての通りだ。いかに人が人を『外見』で判断するのかを理解させられたよ。煩わしい問題が一気に片付いて楽になったから、メイクを続けようと思った」
ただ、と剥がしたメイクをベッドの外に放りながら、彼が言う。
「毎日このレベルのメイクをするのは面倒でね。ある程度『火傷の痕』も見せたし、後はもう仮面で問題ないと判断したから、いつもは仮面だけ着けている」
