それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 訳がわからないので好きなようにさせていたら、ミレッラの指先を固定し、今度は火傷の痕に爪の先端を食い込ませる。

「ちょっと何してるのっ」

 慌てたのは、いくらもう触っても大丈夫なくらい痛みがないとしても、さすがに爪を立てれば痛いだろうと心配してのことだ。
 叔父の暴力で傷ができた時、見かけは治っていても触れると痛かったなんてことがたまにあった。

「慌てなくても問題ない。よく見てみろ」

 彼に促されて自分の爪が当たった先を観察してみたら、爪の痕がもうすでに消えていることに気付く。
 爪痕というのは意外に肌に残るものなので、これには疑問を抱いた。
 ロランがミレッラの疑問を見越したように答える。

「これは本物の痕じゃない」

 彼の指先が火傷の痕に触れ、端から痕を――いや、痕だと思っていたものをべりべりと剥がしていく。
 その下から、仮面で隠されていなかった箇所と同じ色の皮膚が見え、火傷痕なんて最初から存在しなかったかのようにきめの細かい綺麗な肌が顕れた。

「どういう、ことなの」