それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

(でもそうね、これのせいで忌避されていたのよね?)

 それならと思い、ミレッラは火傷痕に触れても大丈夫かと訊ねた。

「あなたができるならどうぞ」

 そう口にしたロランの顔には、表情というものが乗っていない。急に真顔になられると少しだけやりづらい。
 上半身を起こしながらゆっくりと手を伸ばすミレッラは、しかし触れるだけでは証明にならないような気がした。
 なぜなら、ミレッラの手を目で追うロランからは、特に『証明』への期待が見受けられなかったからだ。
 そこでミレッラは、火傷の痕に指先で触れた後、己の唇をそこに押し当ててみた。誰だって醜いと、気味が悪いと思うものには、キスを贈りはしないだろう。
 それからそっと離れると、視界に呆然とする彼が映る。ミレッラの行動はロランの意表を突いたらしく、思わず満足げに口角を上げてしまう。

「いかが? 証明になったかしら」

 途端、彼が頭を抱えるように俯いた。
 やりすぎたかと焦ったが、すぐに彼の方から忍び笑うような声が聞こえてきて、ミレッラは半目になる。