顔を近づけてくるロランの口を、反射的に手で塞ぐ。仮面の下の目が不服そうに細まって、ミレッラは弁明するように口を開いた。
「その前に話がしたいのよ」
「俺に話したいことはない。この結婚の条件は後継者をつくることだ。それを了承したからここにいるんだろう? なら自分の選択の責任を果たせ」
「それはわかってるわ。でも……」
はあ、とロランが深いため息をつく。
ようやく彼が身を起こしてくれて、覆い被さられることはなくなった。それでも膝のあたりをまたがれているので、結局身動きは取れない。
「なんだ、まさかここにきて俺が怖いとか言いだすつもりか?」
「怖い?」
「俺の噂は知っているんだろ? だが仮面《これ》も込みで了承したと思っていたんだがな。叔父のように頭の足りないお嬢さんだったか?」
「なっ……違うわよ! 怖いなんてひと言も言ってないでしょっ」
へえ、と彼が平坦な声を出す。まるきり信じていないのは明らかだった。
「その前に話がしたいのよ」
「俺に話したいことはない。この結婚の条件は後継者をつくることだ。それを了承したからここにいるんだろう? なら自分の選択の責任を果たせ」
「それはわかってるわ。でも……」
はあ、とロランが深いため息をつく。
ようやく彼が身を起こしてくれて、覆い被さられることはなくなった。それでも膝のあたりをまたがれているので、結局身動きは取れない。
「なんだ、まさかここにきて俺が怖いとか言いだすつもりか?」
「怖い?」
「俺の噂は知っているんだろ? だが仮面《これ》も込みで了承したと思っていたんだがな。叔父のように頭の足りないお嬢さんだったか?」
「なっ……違うわよ! 怖いなんてひと言も言ってないでしょっ」
へえ、と彼が平坦な声を出す。まるきり信じていないのは明らかだった。
