それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 思いもよらないロランの言葉に、ミレッラは目を丸くする。叔父の話だと、彼は誰でもいいから子どもの産める女を探しているということだったが、実際はちゃんと線引きしていたらしい。

(公爵家の面子もあるものね。だから条件に『伯爵家以上のご令嬢』なんて付けたのでしょうし)

 そんな彼に『選ばれた』という事実が、じんわりと嬉しかった。
 両親を亡くしてからの約二年。ミレッラは誰にも必要とされず、自尊心をズタズタにされ続けてきた。
 そのせいでここ最近は誰かに必要とされる機会などなく、久しぶりに自分という人間を認めてもらえたような気がして心がむず痒い。
 なんて単純なんだと、自分で自分に呆れてしまう。

「だが、その様子だと本当に叔父に何か吹き込まれてきたわけではなさそうだな。となると、単なる嫌がらせか。あなたもかわいそうに」

 くくっとロランが喉の奥を震わせる。結婚式のときには表情という表情などついぞ見なかったのに、今は雄弁である。
 どちらが彼の素なのだろうと、やはり掴めない。