それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 セレナに代わって控えていたメイドが紅茶を淹れ直してくれたので、束の間の休息をとる。
 何はともあれ、始まってしまった。婚姻生活が。
 つまりミレッラの計画はもう止められない。止めるつもりもない。
 問題は、いつロランに持ちかけるか。

「奥様。そろそろお支度をさせていただきますので、こちらへどうぞ」

 メイドに声を掛けられ、なんだかさっきも同じ単語を聞いたわねと嫌な予感を覚えながら立ち上がる。
 今度はなんの支度だろうかと、されるがまま服を脱がされ、促されるまま浴室に身体を沈め、そこで閃いた。

(もしかして『初夜』!?)

 結婚式はまだ先だと思っていたミレッラは、当然初夜だって先だろうと油断していた。
 けれど結婚式はもう終わってしまい、今夜が夫婦の初めての夜に当たるのは間違いない。
 公爵家に来てから予想外の連続だったせいで、すっかりそのイベントが頭の中から抜け落ちてしまっていた。