それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 鉱山から採れる宝石の産出量が跳ね上がった背景と、町から人が消える事件を結びつけた時、驚くほど辻褄が合ってしまった。
 だからミレッラは、消えた人々は鉱山にいるのではないかと推測していた。
 あその場所は危険地帯として、関係者以外の立ち入りを禁じている。ミレッラだけではどうにもできないと判断し、王家の力を借りたというわけだ。

「ミレッラ様」

 その時、一番お世話になった自警団のリーダーが、一歩前に出てきた。

「俺たちのために、今まで本当にありがとうございました。それで……ミレッラ様の旦那様って……」
「俺だ」

 リーダーがリヒトとロランに視線を彷徨わせたので、それが気に食わなかったらしいロランが威圧的に答える。
 くすくすと笑っていたら、「失礼しましたっ」と慌てたリーダーが、その勢いのまま大きな花束を差し出してきた。

「これ、みんなからお礼です。こんなのしか用意できなくて申し訳ないんですが、その、ミレッラ様の旦那様も骨を折ってくださったとスヴェンから聞いたので、おふたりに」

「まあ、素敵。ありがとう」

 黄色と青色の差し色がされた、品のあるラウンドブーケだ。きっとこの領地で丹誠込めて育てられた花を厳選してくれたのだろう。
 その中に白い薔薇を見つけて、目を瞠った。