それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

「ミレッラ様、本当にありがとうございました。なんとお礼を言っていいのか」

 感極まった様子でミレッラを抱きしめたのは、自警団リーダーの奥方だ。

「いいえ。私だけじゃ、きっと力が及ばなかったわ。でもね、後ろにいる彼らが助けてくださったの。他にも協力してくれた人がたくさんいるわ。もちろん、みんなもその中のひとりよ」
「ミレッラ様、あのね、俺のにーちゃん、帰ってきたんだ。ミレッラ様のおかげだって聞いたんだ。だからありがとう!」

 そう言って、少年がひとりの青年を指さす。少し離れた場所にいる青年がぺこりと頭を下げた。

「さっき王宮で言いかけたことなんだけど、連れ去られた人は、全員に無事に保護して、家族のもとに帰しているよ」

 隣に並んだリヒトが小声で告げてくる。

「ミレッラの読み通り、彼らは鉱山で無理やり働かされていた。それも、家族を盾に取られて。まるで奴隷のようにな」

 反対の隣に並んだロランが、低く唸るように補足した。
 ミレッラはふたりにこくりと頷くと、青年に向けて微笑みを浮かべる。
 ミレッラがリヒトに褒美として望んだのは、連れ去られた領民の保護だった。