それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

「え、あ、あの」
「こら、やめなさい。夫人が困ってるだろう?」
「でも兄様も気になってるんでしょ? というか、僕たち兄弟みんな気にしてるんだよね。ロランはさ、ちょっと過去が酷かったから、その分幸せになってほしくて」

 最後の言葉には何か含みがあったような気がしたが、ミレッラはそこを訊ねるのではなく、エイベルの質問に答えるために咳払いした。

「まず、夫とは政略結婚です。利害の一致とも言います」
「えー」

 なぜかブーイングを受けたが、気にせず続ける。

「でも、始まりはなんであれ、一緒に過ごすうちに彼の人柄に惹かれたんです。強引なのに優しくて、その優しさがまた不器用で。本当は周りが言うような怖い人ではないのに、周りのせいでそうならざるを得なかった彼を、私がそばで守りたいと思いました。彼は、初めて私を認めてくれた人だったので」

 ミレッラの知らないうちにミレッラを支えてくれて、ずっと助けてくれていた人。
 今度は自分が、彼を支えたい、助けたい、そう思った。
 不器用なところも誤解されるようなところも、全部が愛おしいと思った。

「好きですよ。ちゃんと、夫を愛しています。皆様が安心して私に彼を任せられるよう、これからの行動で示していきますわ。それでいかがでしょう、殿下」

 エイベルに向かって微笑むと、彼がニッと歯を見せた。