それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 虫も殺せなさそうな雰囲気を纏っていても、やはり次期国王だ。腹の中がまっさらというわけでもないらしい。

「ちなみに殿下、私がお願いした件についてはどうなってますでしょうか?」

 実はミレッラは、今回の騒動の慰労として、リヒトから何か褒美を与えようと言われていた。
 その際ミレッラが望んだのは、今回の件で唯一やり残したこと。

「伯爵領の領民が消えていた問題だね。もちろん、すでに解決済みだよ」
「本当ですか!」
「実はこの後――」

 リヒトが何か答えようとした時、これまで黙っていたエイベルが、ここで初めて口を挟んだ。

「ねえ、ロランの奥さん。ロランと合流する前にさ、ひとつだけ聞いていい?」
「はい、殿下。どのようなことでも」
「ロランのこと、好き?」
「えっ」

 予想外すぎる質問をぶち込まれて、ミレッラの顔がわかりやすく赤く染まる。
 その反応だけで察したらしいエイベルが、途端に瞳を輝かせて追撃してきた。

「じゃあロランとは恋愛結婚だったんだね? ロランのどういうところが好き? ロランっていつも仏頂面だけど、あなたの前ではどんな感じなの?」