それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 叔父の罪がつまびらかになり、イラニア伯爵家は罪を問われ、爵位を国に返還することとなった。
 それはミレッラが望んでいたことで、やっと肩の荷が下りたような心地である。

「あなたには本当に感謝しているよ、リステア公爵夫人」

 そう言って握手を求めてきたのは、王太子であるリヒトだ。
 イラニア伯爵家は全員罪人として捕縛されたため、元伯爵家の人間だったミレッラが代わりに爵位の返還手続きを済ませたのだが、それが終わった後に声を掛けられた。
 手続きには、王太子の他に第四王子のエイベルも同席していた。ロランは廊下で待っていてくれているので、この玉座の間にはいない。

「恐れ入ります。ですが、今回のことを殿下から感謝される理由が見当たらないのですが……」

 純粋な疑問をぶつけてみる。

「うん。脱税や架空取引だけなら、確かにそうだったんだけれどね。伯爵は『訪問税』なんてものを勝手に始めてくれていたからね。それだけで罪を問えば、伯爵のように薄汚い貴族の反発を食らうところだった」
「でも他の罪も一緒に暴けたおかげで丸く収められた、ということですのね?」
「ははっ。そういうこと」