それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 顔を真っ赤にさせたミレッラとは対照的に、ロランは不機嫌さを隠しもしないで、片膝をついたままショックを受けているエーゲハルトに言い放つ。

「ミレッラがいつまでもおまえの女だと思うなよ。そもそも、彼女が心を許した男は俺だけだ。イラニア伯爵との共犯を疑われたくなかったらさっさと消えろ。そして二度とミレッラに近づくな」
「ひっ。す、すみませんでした……!」

 情けない声をあげて、エーゲハルトが舞踏の間を出ていく。彼は特に罪を犯したというわけではないので、さすがに拘束はできない。
 それでも、浮気されたのは事実のため、ロランが最後にどんとかましてくれたのにはスッキリとした。

「――でも、人前でキスは酷いわ」

 拗ねたように文句を垂れる。

「だから『許せ』って言っただろ」
「あんなのでわかるわけないでしょう!」

 ロランが「悪かった」と謝ってくるが、本当に反省しているかは謎だ。
 なぜなら、

「けど、これでミレッラは俺のものだって、この場の全員に見せつけられたのはよかった」

 と、彼が満足げに笑ったからだ。