それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 ここで自分を睨んでくるのはお門違いだと返してやりたくなるけれど、彼女の心境は理解できる。
 おそらく、醜男に嫁いだミレッラを嘲笑っていたはずなのにそうではなかった事実を知ってしまって悔しい、といったところだろう。
 熱を上げていたスヴェンにも裏切られたのだ。その怒りの矛先がミレッラに向いても、なんら不思議ではない。

(だからといって、納得はしないけれど)

 どれもこれもミレッラが望んだわけでな く、カリーナたちの行動の結果と言えなくもないからだ。
 ロランと結婚することになったのは叔父とカリーナの思惑であり、スヴェンがカリーナを裏切ったのは、彼女が彼を脅して意のままにしようとしたからだ。
 ある意味自業自得なのだが、カリーナはそう思わなかった らしい。

「ミレッラ! なんであんたばっかりいい思いしてるのよ! なんなの! 公爵がこんな顔だなんて聞いてない! 知ってたら私が嫁いだのに!」

 あまりにもあんまりな言い分に、ミレッラは開いた口が塞がらなかった。
 ちらりとロランを窺えば、彼のこめかみに青筋が立っていた。だいぶご立腹のようだ。

「ふざけるなよ、尻軽が。身持ちの悪い女などこちらが願い下げだ」