それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

「カリーナお嬢様は気に入った男性使用人を脅して、複数人と関係を持っていました。私はその中でも気に入られておりましたので、お嬢様にでたらめの話を持ちかけて金庫から証拠を持ってきてもらったのです」
「スヴェン……おまえっ……おまえぇええっ」
「リーナが、使用人と……? それも、複数っ?」

 カリーナが鬼の形相でスヴェンに殴りかかろうとしたので、その前に身体を滑り込ませて守ろうとする。
 が、そのミレッラの前に、ロランが立ちはだかった。
 きっと避けるのなんて簡単にできただろうに、ロランはあえてカリーナの平手打ちを食らう。
 その拍子にロランの仮面が外れて、カランカランと床が鳴った。

「――……う、そ。なによ、その顔……っ」

 ロランの顔を正面から目撃したカリーナが、震える唇で呟く。
 カリーナの反応から好奇心をくすぐられたらしい参加者たちが、皆こぞってロランの顔を拝もうと動いた。
 そしてその美貌を視界に入れた途端、全員が惚けたように息を呑む。

「カリーナ・グランベル。公爵の地位に就く俺に手を出して、ただで済むと思うなよ?」
「なっ……だってそれはあなたがっ……――ていうかなんなのよ、その顔!」

 聞いてないわよ! とカリーナがすごい形相でミレッラを睨んでくる。