それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

「言いがかりもいいところよ。私があなたしか愛していないと、よく知っているくせに」
「ははっ。間違いない」

 ロランとのこの会話は予定調和だ。
 なにせここまでの全てが、計画の内なのだから。

「なによ……どういうことなのよ、これは!?」

 カリーナが叫ぶ。その隣にいるエーゲハルトも目を白黒とさせて、何が起きているのか理解が及んでいない様子だ。
 そこでミレッラは、今回の最重要人物を呼び寄せた。

「私から説明するより、彼から説明された方があなたは理解してくれるんじゃないかしら。――もういいわよ、スヴェン。入ってきて」

 伯爵家で従僕として働く彼は、その仕事着のままここに現れたため、なんとも場違い感が否めない。
 けれど、今日ここに彼を招くことは、ロランを介して王太子に許可をもらっている。
 この中でスヴェンの登場に一番衝撃を受けているのは、カリーナである。

「なんで……どうしてあなたがここにいるの!? それも、ミレッラと……!」
「閣下、発言させていただいても?」
「ああ」

 スヴェンはロランに許可を取ると、カリーナのひとり言のような問いかけには答えずに、この場にいる皆へ向けるようにして口を開いた。

「私はイラニア伯爵家で従僕をしております、スヴェン・ランドウッドと申します。この場をお借りして皆様に告白させてください。私はカリーナお嬢様に、リステア公爵夫人を襲うよう命令を受けました」
「なっ……スヴェン!?」

 スヴェンの男性にしては高い声はよく響くのか、今や会場中の人間が彼に注目している。