「イラニア伯爵。残念だけど、それ以上の言い訳は見苦しいだけだよ」
二階席で高みの見物をしていたはずの王太子が、椅子から立ち上がり、こちらを見下ろしてくる。
「王家としては、今回のあなたの勝手な増税や課税を見過ごすわけにはいかなくてね。これは陛下のご意見でもある。もちろん、リステア公爵夫人の関与もちゃんと調査したけれど、彼女はまったく埃が出なかった。むしろあなたが彼女に触らせなかったそうじゃないか」
なぜそんなことまでわかるのかと疑問が首をもたげた。使用人の誰かが裏切ったのだろうか。そうでなければ、そんな内部情報が漏れている説明がつかない。
「イラニア伯爵、ひとつ、おもしろいことを教えてやろう」
言葉とは裏腹に、ロランが無表情で続ける。
「この証拠の帳簿だが、金庫から出してくれたのは貴殿の娘だ」
「……は?」
「蝶よ花よと育てすぎたな。男を手玉に取っているつもりで、己が手玉に取られていることを世間知らずのお嬢様は気付かなかったらしい」
「なん、だと? カリーナが? はは……そんなわけ……――っわしが! 今まであの子にどれだけの贅沢をさせてやったと思っとるんだ! それがっ、その娘が、そんなっ――」
「ならば、直接訊ねるといい。貴殿の娘はちょうど、舞踏の間で交流会に参加しているんだったか?」
その瞬間、合図でも受けたように身体が勝手に走り出していた。
二階席で高みの見物をしていたはずの王太子が、椅子から立ち上がり、こちらを見下ろしてくる。
「王家としては、今回のあなたの勝手な増税や課税を見過ごすわけにはいかなくてね。これは陛下のご意見でもある。もちろん、リステア公爵夫人の関与もちゃんと調査したけれど、彼女はまったく埃が出なかった。むしろあなたが彼女に触らせなかったそうじゃないか」
なぜそんなことまでわかるのかと疑問が首をもたげた。使用人の誰かが裏切ったのだろうか。そうでなければ、そんな内部情報が漏れている説明がつかない。
「イラニア伯爵、ひとつ、おもしろいことを教えてやろう」
言葉とは裏腹に、ロランが無表情で続ける。
「この証拠の帳簿だが、金庫から出してくれたのは貴殿の娘だ」
「……は?」
「蝶よ花よと育てすぎたな。男を手玉に取っているつもりで、己が手玉に取られていることを世間知らずのお嬢様は気付かなかったらしい」
「なん、だと? カリーナが? はは……そんなわけ……――っわしが! 今まであの子にどれだけの贅沢をさせてやったと思っとるんだ! それがっ、その娘が、そんなっ――」
「ならば、直接訊ねるといい。貴殿の娘はちょうど、舞踏の間で交流会に参加しているんだったか?」
その瞬間、合図でも受けたように身体が勝手に走り出していた。
