それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 だからミレッラに罪をなすりつけようとするが、子を産むためだけに娶った妻に対して、公爵のこの庇い立てはなんなのだと歯ぎしりする。
 臨席している貴族は、誰も彼もが非難するような眼差しを寄越してくる。
 それは自分と似たような悪事を働いているはずの者たちもだ。
 そこで伯爵は、ようやく気付いた。

(訪問税の件で、わしを切ったのか!)

 こういう時、似たような犯罪に手を染めている貴族は、自分に利があると思えば助け船を出してくれる場合がある。
 一種の仲間意識の芽生えによる協同関係だが、共犯ではないため、簡単に裏切られるような薄い関係でもあった。
 今回彼らが助けてくれないのは、決定的な証拠が出てしまったことと、伯爵領で始めた訪問税のせいだろう。
 ひとりで勝手においしい思いをした伯爵に、お灸を据えようとしているのだ。
 しかも今回自分がしくじったせいで、国は今後『訪問税』を各領主に禁止するに違いない。
 ――余計なことをしてくれたな。
 自分に集まる白けた眼差しに、そう言われているような気がした。