しかも絶妙に急がせてくるこの空気はなんなのか。メイドのセレナだと紹介された女性は、マシューが止まらないせいで歩きながら自己紹介を始める始末だ。
「初めてご挨拶いたします。今後お嬢様のお世話を専属で担当させていただきます、セレナ・ブリストルです」
名乗られたファミリーネームに「あら?」と思い、前を歩くマシューの背中へ視線を移す。
すると、察したセレナがはちみつ色の目を細めて頷いた。彼女は肩で切り揃えられた髪色もはちみつ色だ。
「ふふ、お気付きになりました? 実は父なんです。といっても、お勤め中はちゃんと『執事長』って呼ばないと怒られるんですけどね。ちなみに父はもう白髪で地毛の色がわからなくなってますけど、瞳の色は同じなんですよ」
確かに思い返すと、挨拶をされたときに目が合ったマシューの瞳の色は、セレナと同じ優しいはちみつ色だった。
「私、お嬢様にお会いするのを本当に本当に楽しみにしていたんです。旦那様ったら誰に何を言われても、結婚なさる気配がなかったので……。面倒だって仰るんですよ」
「そうなの?」
「はい。でもそんな旦那様が、自ら求婚なさった方と聞いて! このセレナ、全力でそのお嬢様にお仕えしようと心に決めていた所存です!」
目を輝かせているところ申し訳ないけれど、この婚姻は彼女が想像するような甘い要素はひと欠片もない。
「初めてご挨拶いたします。今後お嬢様のお世話を専属で担当させていただきます、セレナ・ブリストルです」
名乗られたファミリーネームに「あら?」と思い、前を歩くマシューの背中へ視線を移す。
すると、察したセレナがはちみつ色の目を細めて頷いた。彼女は肩で切り揃えられた髪色もはちみつ色だ。
「ふふ、お気付きになりました? 実は父なんです。といっても、お勤め中はちゃんと『執事長』って呼ばないと怒られるんですけどね。ちなみに父はもう白髪で地毛の色がわからなくなってますけど、瞳の色は同じなんですよ」
確かに思い返すと、挨拶をされたときに目が合ったマシューの瞳の色は、セレナと同じ優しいはちみつ色だった。
「私、お嬢様にお会いするのを本当に本当に楽しみにしていたんです。旦那様ったら誰に何を言われても、結婚なさる気配がなかったので……。面倒だって仰るんですよ」
「そうなの?」
「はい。でもそんな旦那様が、自ら求婚なさった方と聞いて! このセレナ、全力でそのお嬢様にお仕えしようと心に決めていた所存です!」
目を輝かせているところ申し訳ないけれど、この婚姻は彼女が想像するような甘い要素はひと欠片もない。
