「ミレッラ様ー! ようこそおいでくださいました、ミレッラ様!」
頭まですっぽりとフードを被ったミレッラは、自分に向けて大きく手を振る領民たちに気づき笑顔を浮かべた。
まだ幼い子どもから年配の者まで、ミレッラを出迎えるために町の広場に集まってくれていたらしい。
ミレッラは、十八年前、イラニア伯爵家にたったひとりの娘として生を享けた。幼い頃から領民を大切にする両親のもとで育ったミレッラにとって、領民もまた家族同然の存在であり、守るべき存在である。
だから父からは常々、ミレッラの迎えた夫と共に彼らを守っていくよう言い聞かせられていて、ミレッラ自身もそのつもりでいたが、今の状況は当時とだいぶ変わってしまった。
まず、両親が揃って事故で亡くなってしまった。
それにより、まだ夫を迎えていなかったミレッラでは国法のせいで爵位を継ぐことができず、父の兄である叔父に伯爵家を乗っ取られてしまったのだ。
叔父はもともと領主としての資質を祖父に認められなかったために、長男でありながら伯爵位を継げなかった男だ。
さらに、弟である父に恥ずかしげもなく金の無心をするような人で、他に候補者がいなかったとはいえ、そんな叔父が当主になれば領民がどうなるか想像できないわけでなかった。
そこでミレッラは、本来なら伯爵家から追い出されるところだったのを、なんとか叔父に懇願して残してもらったのだ。
今もこうして叔父に内密で町に足を運んでいるのは、叔父のせいで理不尽な目に遭っている彼らの力になりたいからだった。
「ミレッラ様、お久しぶりです。少しお痩せになりましたか? ……もしかして」
「大丈夫よ。心配してくれてありがとう。私より、みんなはどう? また税金を値上げされたようなことはない?」
「ミレッラ様が前回の急な値上げを止めてくださってからは大丈夫です。ただ最近、町の若い男衆が出稼ぎに行ったまま帰ってこないことが増えているんです」
町の自警団のまとめ役を担ってくれている彼曰く、最初はよくある出稼ぎだと思ったらしい。
頭まですっぽりとフードを被ったミレッラは、自分に向けて大きく手を振る領民たちに気づき笑顔を浮かべた。
まだ幼い子どもから年配の者まで、ミレッラを出迎えるために町の広場に集まってくれていたらしい。
ミレッラは、十八年前、イラニア伯爵家にたったひとりの娘として生を享けた。幼い頃から領民を大切にする両親のもとで育ったミレッラにとって、領民もまた家族同然の存在であり、守るべき存在である。
だから父からは常々、ミレッラの迎えた夫と共に彼らを守っていくよう言い聞かせられていて、ミレッラ自身もそのつもりでいたが、今の状況は当時とだいぶ変わってしまった。
まず、両親が揃って事故で亡くなってしまった。
それにより、まだ夫を迎えていなかったミレッラでは国法のせいで爵位を継ぐことができず、父の兄である叔父に伯爵家を乗っ取られてしまったのだ。
叔父はもともと領主としての資質を祖父に認められなかったために、長男でありながら伯爵位を継げなかった男だ。
さらに、弟である父に恥ずかしげもなく金の無心をするような人で、他に候補者がいなかったとはいえ、そんな叔父が当主になれば領民がどうなるか想像できないわけでなかった。
そこでミレッラは、本来なら伯爵家から追い出されるところだったのを、なんとか叔父に懇願して残してもらったのだ。
今もこうして叔父に内密で町に足を運んでいるのは、叔父のせいで理不尽な目に遭っている彼らの力になりたいからだった。
「ミレッラ様、お久しぶりです。少しお痩せになりましたか? ……もしかして」
「大丈夫よ。心配してくれてありがとう。私より、みんなはどう? また税金を値上げされたようなことはない?」
「ミレッラ様が前回の急な値上げを止めてくださってからは大丈夫です。ただ最近、町の若い男衆が出稼ぎに行ったまま帰ってこないことが増えているんです」
町の自警団のまとめ役を担ってくれている彼曰く、最初はよくある出稼ぎだと思ったらしい。
