それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 それに、スヴェンの報告にあったように『幸せそう』とは言えない様子に、カリーナは期待して訊ねた。

「そうよね。だってリーナがエーゲハルト様をとっちゃったから、ミレッラはその、あんな人と結婚しなくちゃいけなくなったんだものね。リーナの顔を見たくないのは当然だわ」
「何を言うんだい、リーナ。それは違うよ。僕がリーナを愛してしまったからで、君は何も悪くない」
「エーゲハルト様……」

 エーゲハルトの胸にしなだれかかるように身を寄せれば、彼が力強く肩を抱いてくれる。

「ミレッラ」

 エーゲハルトが眦を上げた。

「睨むなら僕を睨みたまえ。リーナに当たるな」
「…………」
「公爵と結婚した後は僕のことを忘れるよう忠告したのに、君は諦めの悪い女性(ひと)だね」

 ミレッラの眉尻がぴくりと上がったが、気付いていないエーゲハルトがやれやれと肩を竦めている。
 ミレッラにエーゲハルトへの未練などないのだろうけれど、そう勘違いされているこの状況がおもしろくて仕方なかった。
 ただ、今日はミレッラをいじって遊ぶことよりも、先に確認したいことがある。