それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 交流会の会場となっている舞踏の間へ王宮の使用人に案内されながら、カリーナはふと思い出した。
 ミレッラが醜男と有名な公爵と仲睦まじくやっていると聞き、それを壊すためにスヴェンにミレッラを襲わせるよう指示したけれど、まだ報告を受けていない。
 いくら醜男とはいえ、ミレッラがわずかでも幸せを享受するのは許せないため、早く成功の報告を聞きたいのに。

(ああ、それとも……)

 カリーナは目を山なりにさせると、抑えきれなかった笑いを口端からこぼす。

(今日はミレッラも来るのよね。みんなの前で本人に聞いてみるのも、悪くないわね)

 大勢の前で夫以外の男に辱められたことを暴かれれば、いつも反抗的だったミレッラもさすがに絶望に顔を歪めるだろう。もしかしたら泣くかもしれない。
 ミレッラの泣き顔など、見てみたいに決まっている。
 やがて会場付近に着くと、先に来ていたエーゲハルトと合流した。
 カリーナの好みでないというだけで、エーゲハルトも顔は整っているのだ。令嬢たちから秋波を受けているところも目にするが、そういう意味でも自尊心を満たしてくれる男である。
 共に会場に入場すると、すでに多くの令息令嬢が談笑していた。
 今回は交流がメインなので立食式となっており、会場の端に料理を載せた台車(ワゴン)が並んでいる。
 主催の第一王子は、まだ来ていないようだ。
 それどころか、王子は誰一人として姿を見せていない。