それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 最初は寝室に連れ込んだカリーナを拒絶してきて腹も立ったけれど、使用人の扱いには慣れている。彼らは、最初は身分を気にしていったんは拒絶するものの、カリーナから〝口実〟を与えられれば一気に欲望に忠実になるのだ。
 ちなみに口実というのは 「秘密にしてあげるから」だったり、「私の誘いを断るとクビよ」だったり。あえて『脅されている状況』を作ってあげるのだ。
 そうすれば彼らは、大義名分を得たとばかりにカリーナを求める。本当にカリーナを恐れているわけではないとわかるのは、彼らが愛を囁きながら事に及ぶからだ。
 そりゃあこれだけかわいい自分が相手をしているのだから、当然と言えば当然だけれど。
 ただ、スヴェンだけは違った。
 彼にも〝口実〟を与えようと、彼の親友だという男を標的にした。その男には将来を誓い合った女がいるようだけれど、伯爵家の使用人である以上、カリーナのものだ。
 スヴェンが応じないならその男を寝室に呼ぶわよと口にすれば、思った通り、スヴェンもすぐにカリーナに手を出した。本当に男というのは素直じゃない。
 ここまではいつも通りだったのに、彼はこんなにかわいい(カリーナ)を前にしても、愛の言葉のひとつも囁かなかった。
 いつもにこやかに微笑み、それはそれでかっこいいけれど、他の男のように余裕をなくすような真似はしない。
 それならと彼の望むものを与えて、彼の関心を自分に引きつけようとするけれど、やはりスヴェンの微笑みはお行儀よく鎮座し、崩れることがない。

(そういえばミレッラの件、ちゃんと成功したのかしら)