それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 固唾を呑んだ時、ロランの威風堂々とした声が響いた。

「イラニア伯爵、前へ。素直に召喚に応じたのは評価しよう」

 なんとも生意気な男だと、人知れず歯噛みする。
 しかし王子まで揃っている中で下手に対抗心など見せようものなら、自分の立場が悪くなる。
 大人しく指示に従い、議長台の反対側にある発言台へと歩を進めた。
 その間、いくつもの視線が己の全身に注がれる。決して好意的な視線ではないと、それなりの場数を踏んできた伯爵にもわかった。
 あるいは好奇の眼差しもぽつぽつと感じており、苛立ちを募らせていく。
 発言台に立つと、心を落ち着かせる暇も与えられず、ロランがいきなり本題を突きつけてきた。

「それでは、イラニア伯爵による脱税及びそれに係る架空取引についてと、観光客を対象とした無断の訪問税導入についての尋問を開始する――」


   *


 イラニア伯爵が王宮に着いてから、約一時間遅れでカリーナも王宮に降り立った。