それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 しかし体調の優れなかったミレッラは、当日になって留守番を決めたようで、姪が生き残っていると聞かされた時は思わず物に当たったものだ。
 それでもミレッラが爵位を継げるはずがないので、そこだけは安心した。
 だから気まぐれに屋敷に置いてやったのに、あの姪はエーゲハルトと結婚して爵位を取り戻そうとしていた。油断のならない女である。
 エーゲハルトの女の趣味がカリーナのようなタイプでよかったと、何度ほくそ笑んだことか。
 ミレッラは男を狂わせる美人顔ではあるものの、好みでなければその顔も威力は発揮しない。
 おかげで、自分を愛してくれる男なら基本的に誰でもいいカリーナによって、エーゲハルトをいとも容易くこちら側につけることが叶った。
 そして、これは邪魔な姪を追い出せるチャンスだと、途端に閃いたのだ。
 このままどこかの老いぼれ貴族の後妻か、難のある貴族のもとへ嫁がせれば、ようやく伯爵家を本当の意味で手に入れられる。
 はたして勝利の女神は、己に微笑んだ。
 醜男と有名なリステア公爵ロラン・ディ・オルブライトが、ミレッラをもらってくれると言ったのだから。
 しかもミレッラに惚れた上での了承ではない。あくまで子を産む道具として迎え入れたいという。
 あまりにも都合がよすぎて、口角が上がったまま、元に戻らないかと思った。
 人の地位(もの)を奪った弟の娘だ。万が一にも幸せになってはならない。
 この男なら、ミレッラが幸せになることはないと確信した。
 醜い男に己の身を捧げ、ただただ消費されるだけの人生を送ればいいと呪いながら、公爵へと譲り渡した。