(財務省から召喚状が届いた時は焦ったが、どうやら大した話ではなさそうだな)
そう見当をつけたのは、財務省の呼出しにはいくつか種類があり、その内容によって呼び出される部屋に違いがあるらしいと知っていたからだ。
呼出しの中で一番まずいのは、通称『審議の間』と呼ばれる部屋だ。
ここに召喚された者は、確実に悪事の証拠を握られた上で呼ばれているものと思った方がいいと、自分と似たような悪事を抱えている貴族に教えてもらった。
伯爵は今まで一度もその部屋に行ったことがないので、道に見覚えがあるようなら問題ないと安心した。
(そうだ、わしが捕まるはずがない。たとえ怪しまれても、証拠だけは厳重に管理しておるからな)
それさえ見つからなければ、己の悪行などあってないようなものである。
そもそもの話、自分の重ねている罪は、罪であって罪ではない。
先々代イラニア伯爵が通例通り生まれ順で自分を後継に定めていれば、犯す必要のなかったものだ。
つまり、本来であれば自分が伯爵を継ぐ予定で、そうなっていれば手に入ったものを使っているだけだ。そしてそれによって儲けたものを、ただ国に取られまいと守っているだけである。これが罪であろうはずがないのだ。
(あの頭でっかちな老いぼれめ。死人のくせに、余計な手間をかけさせてくれおったわ)
先々代は病で亡くなったが、自分の寿命を悟っていたのか、しっかりと遺言状を残していた。
そう見当をつけたのは、財務省の呼出しにはいくつか種類があり、その内容によって呼び出される部屋に違いがあるらしいと知っていたからだ。
呼出しの中で一番まずいのは、通称『審議の間』と呼ばれる部屋だ。
ここに召喚された者は、確実に悪事の証拠を握られた上で呼ばれているものと思った方がいいと、自分と似たような悪事を抱えている貴族に教えてもらった。
伯爵は今まで一度もその部屋に行ったことがないので、道に見覚えがあるようなら問題ないと安心した。
(そうだ、わしが捕まるはずがない。たとえ怪しまれても、証拠だけは厳重に管理しておるからな)
それさえ見つからなければ、己の悪行などあってないようなものである。
そもそもの話、自分の重ねている罪は、罪であって罪ではない。
先々代イラニア伯爵が通例通り生まれ順で自分を後継に定めていれば、犯す必要のなかったものだ。
つまり、本来であれば自分が伯爵を継ぐ予定で、そうなっていれば手に入ったものを使っているだけだ。そしてそれによって儲けたものを、ただ国に取られまいと守っているだけである。これが罪であろうはずがないのだ。
(あの頭でっかちな老いぼれめ。死人のくせに、余計な手間をかけさせてくれおったわ)
先々代は病で亡くなったが、自分の寿命を悟っていたのか、しっかりと遺言状を残していた。
