それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 彼女が一緒に連れ込まれなくてよかったと、心の底から安堵する。
 馬車の中にはスヴェン以外の男がふたりいる。どちらも金で雇っただけの暴漢だろうとは思うけれど、その顔には見覚えがあった。

「この間はどうも、お嬢様?」
「あんたが遠慮なく蹴ってくれたここで、今日はたっぷりと遊ぼうな?」

 両脇を固めるように、ふたりの男がミレッラの腕を拘束する。やはり前回スヴェンに絡んでいた男たちのようだ。
 なるほど、彼らは共犯だったというわけだ。

(まあ、薄々気付いてはいたけれど)

 スヴェンは対面に座って、冷めた目でミレッラを見つめてくる。
 どうやら他に仲間はいなさそうだと確信し、ミレッラはすっと目を細めて唇で弧を描くと、尊大に胸を張った。

「歓迎してくれてありがとう。ちょっと狭いけれど、ここでもお茶会ができなくはないわね」
「は?」

 男ふたりが眉根を寄せる。
 スヴェンの表情は変わらない。