それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

(あるいは……かしらね)

 セレナが不安そうに一瞥してきたが、それには触れずに、にこりと頷いた。

「いいわよ。店は決まっているの?」
「はい。案内します」

 セレナと共にスヴェンの後についていく。
 ロランには『お茶会』と言ったが、どうにもこれはお茶会にならなさそうだと人知れず嘆息した。
 スヴェンはメインストリートを曲がると、馬車が道の端にずらりと並ぶ通りに出た。
 貴族は基本的に移動手段が馬車であるが、ショッピングなどを楽しんでいる間、馬車をどこかに停めておく必要がある。
 この通りは、まさにそのために利用されている。
 主人の帰りを待つ馭者たちは、御者台で退屈そうにしていたり、居眠りをしていたり、各々自由に過ごしているようだ。
 この通りを抜けた先に、確かに宝石店はある。一応そこは取り繕うのかと考えながら歩いていたら、列の最後尾の馬車の扉が開いて、そこから腕が一本飛び出してきた。
 その腕に強引に馬車の中へ連れ込まれると、逃げ道を塞ぐようにスヴェンも乗り込んできて扉が閉められる。

「奥様っ」
「逃げてセレナ!」