それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 開き直ったロランが、ふっと鼻で笑う。

「賭けにミレッラが勝ったところで、離婚を『申し出る』だけなら問題ないと思った。離婚が絶対条件じゃないなら縋りようもあるだろうと、そのためにも俺なしでは生きられないようにすればいいと踏んだんだ」

 あまりにもあけすけな告白に、ミレッラは顔を赤くする。怒ればいいのか照れればいいのか、感情の置き所が行方不明だ。

「だから、俺もミレッラの目的達成を優先させた。惚れた女の願いだったし、叶えてやりたかったから」

 胸がきゅっと縮む。彼はミレッラが思うよりも、ミレッラのことを考えてくれていたようだ。
 どうやらミレッラが叔父の不正について聞き込みをした何人かは、ロランの息がかかった者らしかった。彼自身が調査した結果を、部下を介して共有してくれていたという。
 それだって、きっと素直に協力を仰げないミレッラの心情を慮ったからだろう。

「そうなると、ミレッラとの子どもは確かに欲しいが、今じゃないだろ? だから妊娠の可能性を低めるために、俺も避妊薬を飲んでいたというわけだ」

 そして今夜は、ミレッラを抱くつもりがなかったから服用していなかったらしい。

「じゃあどうして――最初から私のことを想ってくれていたなら、なんで急にもう抱かないなんて言ったの?」

 ふいにロランが横を向く。眉間にしわを寄せて、ばつの悪そうな顔で口元をまごつかせていた。

「……から」
「え? なんて?」
「っ、だから、ミレッラの心も欲しくなったから……っ」

 彼がやけくそのように続ける。