(そういえば一度だけ、覚えのない使用人が出てきたのを見たわね)
覚えがなかったのは、その使用人がミレッラをいじめにやってこなかったからだろう。それと、他の目撃してしまった使用人と違い、その人だけは難しい顔をしてカリーナの部屋から出てきた。
(あの使用人、今思うと、どこかで見たような……?)
記憶の中で何かが一致しそうになった時、ロランの「あの豚と先代が兄弟なんて信じられない」という呆れ声で我に返る。
「それは私も同じ気持ちだけど……でもどうしてそこまで? 生前のお父様とは懇意にしていたの?」
「いや? ただ俺が、先代イラニア伯爵を個人的に気に入っていたというだけだ。あの人は貴族にしては無欲で、珍しい善良な領主だったからな。なのにその後を継いだ男があれだったんだ。腹が立ちもするだろう?」
ロラン曰く、彼が後継者を産んでくれる女性を探していることや、すでに多くの女性に拒まれて困っているということは、叔父に吐いた嘘だという。これまでロランが誰かに求婚した事実はないそうだ。
「あの男のねじ曲がった性格からして、素直にあなたを求めても断られると思ったんでな。俺は醜男と有名だったし、合わせ技で畳みかけてみたら……まあ、結果はご覧の通りというわけだ」
「そ、そう」
叔父がものの見事にロランの手のひらで踊らされている。
そしてそれは、ミレッラも。
覚えがなかったのは、その使用人がミレッラをいじめにやってこなかったからだろう。それと、他の目撃してしまった使用人と違い、その人だけは難しい顔をしてカリーナの部屋から出てきた。
(あの使用人、今思うと、どこかで見たような……?)
記憶の中で何かが一致しそうになった時、ロランの「あの豚と先代が兄弟なんて信じられない」という呆れ声で我に返る。
「それは私も同じ気持ちだけど……でもどうしてそこまで? 生前のお父様とは懇意にしていたの?」
「いや? ただ俺が、先代イラニア伯爵を個人的に気に入っていたというだけだ。あの人は貴族にしては無欲で、珍しい善良な領主だったからな。なのにその後を継いだ男があれだったんだ。腹が立ちもするだろう?」
ロラン曰く、彼が後継者を産んでくれる女性を探していることや、すでに多くの女性に拒まれて困っているということは、叔父に吐いた嘘だという。これまでロランが誰かに求婚した事実はないそうだ。
「あの男のねじ曲がった性格からして、素直にあなたを求めても断られると思ったんでな。俺は醜男と有名だったし、合わせ技で畳みかけてみたら……まあ、結果はご覧の通りというわけだ」
「そ、そう」
叔父がものの見事にロランの手のひらで踊らされている。
そしてそれは、ミレッラも。
