それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 ロランがここにきて前提をひっくり返してきたので、ミレッラは目を瞠った。

「あなたについては求婚前から知っていた。ミレッラだから求婚したと言ってもいい」
「ど、どういうこと?」

 そうしてロランは、もともとイラニア伯爵の税収申告に不審感を抱いたのがきっかけで、ミレッラを認識していたことを話してくれた。

「伯爵が代替わりしていると知って、不正を働いているかもしれないのが先代の兄だとわかり、おまけにあなたが自分の身を犠牲にしてまで爵位を取り戻そうとしているのに気付いた」

 なかなか大胆なことをするなと思いながらも、最初ロランは見守るつもりだったらしい。

「だが調査してすぐ、あなたの元婚約者が浮気しているという情報を掴んだ」
「それって、カリーナとの?」

 そうだ、と彼が頷く。
 近い未来にミレッラがエーゲハルトとの婚約を破棄されるだろうと彼は予測し、そうなった場合の対策を取ることにしたそうだ。

「先代の忘れ形見が不当な扱いを受けているんだ。あのままあの家に置いておくのは忍びないし、あの豚の悪事を暴いた時、あなたまで罪を着せられるのはさすがに不憫に思えた。だから、どうにかあなたを安全圏にやれないかと考えたんだ」
「つまり、私が調査しなくても、いずれ監査が入ったということ?」