それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

「念のためもう一度聞くが、俺が初めてのはずだよな?」
「そうよ」
「それにしては男の煽り方がうますぎないか?」

 まさか、と彼がじとりと睨んできた。

「元婚約者と直前まではよくしていた、なんて言わないよな?」

 ロランがミレッラの肩に額を押しつけてきて、さっそく合図を使う彼に胸がきゅんとした。

「そんなわけないでしょ。好きで結婚するわけじゃなかったから、結婚するまでなるべくそういう雰囲気にならないよう気をつけていたもの」
「……ならいいが」

 ロランにエスコートされて、窓際の椅子に腰を下ろす。脚の長い丸いテーブルを挟んだ対面の椅子に、彼も腰掛けた。
 カーテンは閉じられており、外の様子は窺えない。

「まず、俺がミレッラに求婚した件についてだが」
「後継者のためよね?」

 それを今さら話されたところでなんだというのだろうと、小首を傾げる。

「実は、厳密には違うんだ」