それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

「そんなのやったか?」
「やってたわよ。無意識だったの? かわいかったから、あれならどんな嫉妬でも受け止められそう」

 ロランが複雑そうに眉を顰める。

「逆に私がその合図をした時は、ちゃんと私の機嫌をとってね?」

 ミレッラはロランの喉仏に吸いついた後、上目遣いでそう挑発した。
 ロランが困ったような顔で見下ろしてきて、その悩ましい表情に気を良くしたミレッラは口づけを再開する。
 どんどん下がっていくミレッラの唇に、ロランがされるがままミレッラの頭を撫でた。

「ミレッラ。嬉しいが、今日はまずい」
「どうして?」
「いろいろと準備ができてない」

 準備? と首を傾げる。
 彼からは石けんの香りが漂っていたので入浴は済ませているはずだが、他にも何か準備することがあるのだろうか。

「それに、賭けはまだ続いてる」

 確かに、特に賭けを無効にしていない今、ミレッラはこの先の行為に及ばない方が有利だ。
 けれど。

「……せっかく想いが通じたのに、おあずけなの?」