それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

(どういうことっ? 好きって、私を? ロランが?)

 ミレッラの疑う心を徹底的に潰すように、ロランがずっと「好き」を贈ってくる。
 ここまでされれば、さすがに今までの自分の勘違いに気付かされた。ロランが好きなのは自分なのだと、疑う余地なく理解させられる。

「好き。好きなんだ、ミレッラ」
「~~っしつこい!」

 そう何度も言わなくても意味は通じるし、キスだっていつまでするつもりだ。そろそろちゃんと息をしたい。
 まるで全力疾走した後のように息切れを起こすミレッラは、やっと口づけをやめてくれたロランをキッと睨み上げた。

「キスで思い通りにさせようとするのは、嫌いって言ったわ」
「俺の話を聞こうとしてくれないからだろ。聞いてくれないなら行動で示すしかない。違うか?」

 確かに彼の話を一方的に拒絶したのはミレッラだ。今回はさすがに自分が悪いと感じて謝る。

「……ごめんなさい」
「いや、構わない。それだけ俺が好きってことだもんな?」
「なっ……そうだとしても、普通それを口にするかしら!?」
「許せ。浮かれているんだ」

 そう言ってロランが本当に嬉しそうに破顔するから、ミレッラはそれ以上何も言えなくなってしまう。
 目は口ほどにものを言うと聞くけれど、人の瞳というのはこんなにも雄弁だっただろうか。