それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

「どっち?」
「なんだって?」
「どっちかと聞いたの。好条件の女性か、好きな女性か」
「それを聞いてどうするつもりだ」

 どうする? そんなのは決まっている。好きな女性でないのなら、まだ自分にも可能性はあるため身を引くつもりはない。
 けれどもし、好きな女性と返されたなら。

(身を引くしか、ないじゃない……っ)

 それ以外にどうしろというのだ。身体を重ねても好きになってもらえなかった自分と、相手の女性。
 ロランが誠実な人なのは一緒に過ごしてきてわかっているつもりだ。だからミレッラという妻がいながら彼が他の女性も抱いているとは思わない。
 それならば、相手の女性はそんな姑息な手を使わなくても愛されるほど、素敵な女性なのだろう。

「もし、好きな人ができたと言うのなら、賭けなんて関係なく離婚してあげるわ。もちろん円満にね」
「……本気か? 俺をどこの誰とも知れぬ女に渡すと言うのか?」
「っ、そうよ! だって好きなんでしょう? 私に勝ち目なんてないじゃない! 引き止める権利だってないわ!」
「あるだろ! 俺の妻はあなただ!」
「じゃあ引き止めていいの!? あなたを好きになっちゃったから、私以外の女性と幸せにならないでって言っていいのね!?」

 完全に売り言葉に買い言葉だったが、気付いた時にはもう遅かった。