それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 ロランは後継者をつくるためなら誰でもいいと答えた。割り切った関係を相手に望んでいる彼に、愚かにも好きになってしまったと告げてしまって大丈夫なのだろうか。
 さらに彼は、人からの好意を嫌っている節がある。
 だからこその仮面であり、自分の顔に擦り寄ってくる人間が嫌いだと吐き捨てていた。
 決して顔で好きになったわけではないけれど、彼にそう捉えられてしまったら?

『結局あなたも、他の人間と同じか』

 そう蔑むような目で睨まれてしまったら?

「……っ」

 きっと耐えられない。心はズタズタに引き裂かれる。
 そうなるくらいなら、まだ男にだらしない女だと思われていた方がマシだ。
 まだ『後継者を産むためだけの女』として見られていた方がいいのではないか。
 ミレッラは彼のバスローブをはだけさせると、見惚れるほど引き締まった彼の胸に唇を落とした。
 彼がこれまでしてくれたことをなぞるように、思い出しながらキスをしていく。
 そんなミレッラにぎょっとしたロランが、慌てて腹筋を使って起き上がると、ミレッラの肩を掴んでやめさせてくる。

「急にどうしたんだ」
「それはこっちのセリフよ。急に賭けを放棄したのはあなたの方じゃない」