それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

「それは……」
「私が何かしたかしら? だから拒絶するの? まさか前のカフェのこと、まだ怒っているの?」

 ミレッラが男にだらしないと思って、そんな女は必要ないと思ったのだろうか。穢らわしいと思ったのだろうか。

「このまま、賭けに負けてもいいっていうのっ?」

 拒絶するなら、もう少し早く拒絶してほしかった。まだミレッラが自分の気持ちを自覚する前に、まだ引き返せた時に、賭けは俺の負けでいいと言ってほしかった。
 なぜ今さらミレッラを拒むのだろう。意味がわからなすぎて混乱する。

「落ち着け、ミレッラ。カフェのことはもう怒っていない。あれは俺の問題で、あなたに怒りをぶつけたのはお門違いだと反省したんだ」
「だったらなんで……っ」
「いや、そもそもの話、閨がない方がミレッラにとっては好都合だろ? なぜ理由を知りたがるんだ」
「それはっ……」

 それは、ロランのことが好きだから。
 好きだと気付いてしまったから。
 気付かないふりができないくらい、深みにはまってしまったから。
 ――けれど、それを言ってどうなる?