それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 ひとつは虚偽申告。宝石の産出量を偽っていることだ。
 もうひとつは架空取引。
 というより、架空の経費を計上して利益を圧縮し、それに係る税金を減らそうとしているようなので、結果として脱税をしているような状況である。この国では事業の利益に対して税金がかかり、国へ納める義務があるが、納める額を少しでも減らそうとする卑怯な犯罪である。
 つまり、架空取引と脱税は繋がっているため、どちらかの証拠さえ掴めれば芋づる式に叔父の罪を暴けるかもしれないというわけだ。
 そしてそれに関与している商人が、以前ミレッラがカフェで探していた男なのだが、地道な聞込みと国内の商会を片っ端から検めていったことでようやくその正体を掴んだ。
 そこから叔父の三つ目の罪も予想できる。
 商人は架空取引の相手としての役割だけではなく、裏では人身売買も手掛けていた男だったのである。

(領地を去る前、みんなが言っていたわ)

 ――〝町の若い男衆が出稼ぎに行ったまま、帰ってこないことが増えているんです〟
 これがもし噂の通り、叔父の募集した仕事に応募し、帰ってこなくなったというのなら。
 この商人が関わっている可能性は高い。
 鉱山での宝石の産出量が近年で右肩上がりだったのも、それなら説明がつく。
 父の代の時は、宝石をとり尽くさないために、あえて働き手の人数を絞っていた。
 叔父がもし、まだまだ鉱山に眠ったままある大量の宝石に気付いたなら、やりかねないだろう。