それでは旦那様、私と賭けをいたしましょう

 自分の中にこんな情けない一面があったなんてと失望する。
 ただ、失いたくない思いがそれほど強いのだという裏返しでもあるこの感情と、いつかは向き合わなければいけないのだろう。

「とにかくもう、抱くのはやめよう……」

 万が一にも彼女が妊娠し、ロランが賭けに勝ってしまったら、それこそ一生彼女の心は手に入らなくなる。そんな気がする。
 彼女に『賭けに負けたから』ロランのそばにいる、という認識を植えつけるのは、心も欲しくなってしまった今のロランには避けたい事態だ。そんな義務感で一緒にいてもらっても、虚しくなるだけだから。
 無意識に口からこぼしてしまった呟きを、王子たちが拾う。

「うわ~、ロランってばそんなに野獣だったの~?」

 第三王子が茶化し、

「だから嫌われちゃったの?」

 後ろからくっついている第四王子がおもしろがるように目を細め、

「そっ、そういうことを皆の前で口にするなっ」

 第二王子が顔を赤くし、

「なんでもいいけど、告白しなよ?」

 リヒトが至極真っ当だけれど無理難題を突きつけてくる。

「いやいや、告白はいいって~。奥さんより俺たちと遊ぼうよ~」
「僕もその方が嬉しいなー。僕だけ結婚してなくて暇だし」
「それより仕事をするべきだ。問題は山積みだぞ」
「ねえ、なんでみんなロランを応援してあげないの? ここは応援しようよ」

 四兄弟がごちゃごちゃとうるさい。
 真剣に悩みたい時に彼らと一緒にいるのは間違いだったなと、ロランはため息をこぼした。